以前、別のサイトで書いていた文章があって、そちらのサイトの閉鎖に伴いそこの文章を微ニ入ルに持って来たことがありました。
それらはもともと「微ニ入ル」で書かれていたものではないので、「微ニ入ラズ」と名前をつけたコーナーに置かれていたのですが、書き方が微ニ入ルと違うのでどうにも違和感があり、結局のところ削除してしまいました。
私は一度ネットに上げた文は削除しない方針なのですが、もともと他所のために書いたレポートなどの類を微ニ入ルに持ってくるというのは無理があったんでしょうね。テイストとか違うし。
この時削除したファイルはインターネットアーカイブでも見つけられず、行方不明状態でしたが、自宅のCD-Rにファイルのバックアップが保存されていました。
文の一つを見てみましょうか。
アイゴ
アイゴという言葉、日本人は漢字で「哀号」と書いて、韓国人が慟哭する時に使うものと思っているのかもしれません。
確かに、韓国で飛行機墜落のような大きな事故が起きた時など、日本にもニュースが流れて、遺族(特にお母さん)が「アイゴ!アイゴ〜!」と慟哭している。しかし、韓国にいらしたことがある方はすでにご存知だと思います。この「アイゴ」、とんでもなく広く使われている言葉です。
デパートで他の人にぶつかったら「アイゴ」、友達に出くわしても「アイゴ」、綺麗な服を見つけたら「アイゴ、イェプダ!」などなど。
要するに、驚きは全部これで済んでしまいます。
私自身も、韓国に来てしばらくしたら、この「アイゴ」が自然に出てくるようになりました。
腰が痛いときも「アイゴゴ!」、人生について嘆く時も「アイゴ〜」です。* * * *
慟哭の「アイゴ」については、こんな話しを聞いたことがあります。
ある日本人留学生(女性)がソウルで友達とタクシーに乗っていた時、交通事故に会い、病院に運ばれましたが、間もなく死んでしまいました。
それで、日本からお母さんが駆けつけて来たのですが、このお母さん、娘が死んだというのに、娘の友人や病院関係者に「迷惑をかけてすみませんでした」「すみません」「すみません」とばかり言っている。
韓国人はみな、奇妙な感覚にとらわれました。「このお母さん、自分の娘が死んだのに『アイゴアイゴ』と泣くわけでもない。私たちなら、周囲の目を気にしないで泣き喚くのに。一体なんなんだろう。」このお母さん、娘の遺体と共に日本に帰ったのですが、しばらくして、今度は菓子折りを持ってソウルの病院関係者の間を挨拶まわりしたそうです。「娘がお世話になった」と。
そして、このお母さん、一人になった時、病院の廊下の隅の方で泣いていたらしい。
それを見た韓国人は、「日本人というのがちょっと分かった気がした」そうです。
これは2000年の夏に書かれた文ですが、ほらー、微ニ入ルとはずいぶんテイストが違う。
いつも微ニ入ルのことを「杉山節」「杉山ワールド」などと言っている人たちはこの文を読んで「こんなの微ニ入ルじゃないやい!」と思うことでしょう。
結局、これからも「微ニ入ラズ 〜封印されたファイルたち〜」ってことになりそうです。
[2008-01]