エレベータを待っている所に部長がやってきた。左手には書類鞄を、右手には何やら包みを提げている。
「それは何です?」
「注射液」
「注射液?」
「ウチの娘に注射して娘の背を高くするんです」
「ええー! 副作用とかないんですか?」
「まだそういう報告はないそうです」
「牛乳飲ませればいいのに、牛乳」
「牛乳じゃ駄目なんです」
「今何歳なの?」
「中学校2年」
「女の子だったら背が低くてもいいんじゃないの?」
「160cm以上欲しいそうですよ」
「そうかぁ」
「ウチは妻も背が低くて、だから子供も背が小さくなっちゃうんです」
「そんなの今更言いますかぁ。結婚する時に分かってることじゃないですか」
[2006-12]