もう10年以上前の話になりますが、新村ロータリーの眼鏡屋でフレームを選んでいたことがありました。
ふんふん。
それで、普通だと、「お客さん、こちらの方が似合いますよ」「こちらの方がおしゃれですよ」なんて風に言うじゃないですか。
ええ。
で、この店員の場合、歳は30前後の兄ちゃんだったんですけど、「(このめがねをかければ)女たちがついて来ますよ」と言うんです。
それは「知らない女がついて来る」という意味で?
でしょ。「知らない女がぞろぞろついて来る」 − つまり、ブレーメンの音楽隊のようにですね。
それで?
それで、「馬鹿じゃねーの。この店員」などと思いながらも、結局その店員の薦めるメタルフレームにしたわけですよ。
そうしたら?
そうしたら、どうってことはありませんでした。
そして、最近の話になるんですが、スーツケースの新しいのが欲しくなってカバン屋に行った時のことですけどね。
ええ。
その店にいたのは女店員二人でした。
ええ。
それで、いくつかのスーツケースを見せてもらって、大きさや使い勝手を考えて一つを選んだんですが、なんか気に入らない。
うん。
で、店の人が「お客さん、気に入らないですか。これが一番いいと思いますよ」と言うのに対し、ボクの言ったのは「うーん。このカバンは女たちがついて来ないと思う」だったんです。
ほお。
結構マジで言ったんで、女店員は馬鹿にしたように笑っていました。
なーる。
10年前眼鏡屋で聞いたセリフが自分の奥底に眠っていて、今日出るべき時に出て来たわけですね。ちょっと、怖かったです。
「女たちがついて来る」という言い方はあまりしないんですか。
しますよ。「先生は若い時、女たちがついて来たでしょ」のようにヨイショしたり。まあ、そういった意味では、「自分の奥底に眠っていた」ってわけではなく、体内で培養していたんでしょうね。
筆者はなぜ「ちょっと、怖かった」と感じたのか。思う存分に答えなさい。
[2005-11]