「上司ってのが、二人いた。一人めは××で記者をしていた時の上司で、『水に落ちた人間を叩いちゃいけない』ってことを教えてくれた。
『妻も子供もいる人間なんだ』
『<これこれこういう事実がある>と明らかにすれば充分で、色々報道されて既に水に落ちている人間を叩いて仕事しているつもりになっちゃいけない』
って言われた」
「二人めの上司が○社長さ。○社長からは、人とどう付き合うかってことを教えてもらった。
その時は会社が××洞にあったんだけど、○社長は毎日7時に出勤して、夜は酒を飲みに行って必ず二軒め三軒めまで行く。そして、どんなに夜遅くなっても翌日朝は7時に出社。それが社長のスタイルだったんだ。
オレは企画室長として仕えていたんだけど、考えてもみろよ、社長の家は車で10分のところにあって、オレは自分の家まで3、40分かかるんだぜ。午前2時に社長を見送って家に帰って、朝7時までに会社に行く。あーこりゃ駄目だ、って思って会社の近くの旅館の部屋を契約で借りて、そこで寝たりしていた。
それで、家に帰ったり旅館に泊まったりする生活をしていたんだけど、ある日、社長が車の中で『今日はお前の家に行く』って言ってさ、△△洞の14坪のウチのアパートに来たんだよ。その時はまだウチの子供がこんな小さい時で、社長は子供に小遣い渡してから、ワイフに『私がこういう仕事の仕方しか出来なくてすまない。あと少し辛抱して下さい』って謝るわけさ。
いやあ、あの時は感動した。人と付き合うのはこういう風にしなきゃいけないんだな、って思ったよ」
[2005-07]