皆さん、入学おめでとう!
えー、皆さんが書の道を志したということで、私はこの上ない喜びを感じています。「書の道」というテーマで簡単な話しをして欲しいということでしたので、これから色々述べてみたいと思います。
わたくしごとで恐縮ですが、私は日本人から次のようなハングルで書かれたメモをもらうことが時々あります。
| 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|
| 人┤ | 人├ | 人 ┴ |
一体、なぜこんな風なハングルを書いて平然としていられるんでしょうか。これでは3歳児が書くハングルです。
「人┤」と書く時と「人├」と書く時と、左側の子音の書き方は当然異なるべき。そして、3の子音は当然のことながら平べったく書くべきですね。さらには、「┴」の縦線は中央から生えているのではなく、中央よりやや右に生えるべきです。
こういうことは韓国に来たら真っ先にペン習字の学校に通って学ばなければなりません。(まあ、学校に通わなくても、韓国人が書いたりしたものや印刷物を見てれば自然にわかることですけどね。) 韓国に来てまず通うべき学校は、ペン習字の学校と雄弁術の学校だと思います。
ちなみに私は韓国のペン習字の学校に3ヶ月通いましたが、いつも授業が終わる時間になるとあみだくじの時間があって、お金を出しあって駄菓子などを食っていました。私は「あみだくじの天才」の名を欲しいままにしていました。
できればペン習字の学校で「楷書体 → 行書体」程度まで習うのがいいと思います。
私の場合は、楷書体を3ヶ月習って終わりにしました。
なぜかというと、この学院に行くと、最初の20分間ぐらい、マスの中に縦線、横線をびっちり引く基礎練習をしなければならなくて、それが相当につらかった(退屈だった)からです。
参考のために申し上げると、私が日本の会社にいた時、こんなことがありました。
あるデザイナーが縦横に線を引いてマスをたくさん作っていたところ、新人の女性社員が「○○さん、なぜ枡ばっかりかいているんですかぁ?」と大きな声で尋ねました。それを聞いた男性社員は皆笑いました。
* * * *
さあ、次は筆文字の世界ですね。
ここに載せたのは、今私がついている先生の書いたお手本です。
これを見ると分かる通り、縦の棒やパッチム(終音)が同じ様に書かれていることが分かる。
まことに、「プロである」ということは、「同じ物を再現できる」ということですね。素人の場合はたまたま線が綺麗に書けることがあっても、それが2回、3回とは続かない。
江南にある某鮨屋の職人(韓国人)が鮨を握ると、それは常に米粒が230個前後だそうです。素人の場合、鮨を握って230粒になることはあっても、ある時は260粒になり、ある時は200粒になるはずです。
うーむ。「じゃあ、私ってば、夜のお仕事が2分〜3分の間に必ず終わるんだけど、これもプロですか?」とかEメールを送って来たりしないでね。
リメンバー! 「プロ」というのは同一の物を再現できる者、あるいは近未来の現象を予測できる人間である。すでに起きた事について、どんなに素晴らしい(ように見える)解説をしても、それだけはプロとは言えないよ、と言いたいです。
さあ、次は筆文字の行書体です。
「何これ。楷書とほとんど変わらないじゃん? 上から、母音の o、yo、次は子音のk(キヨク)部分じゃないの?」と言う人もいるかもしれません。
しかし、世の中というものは、そういうものではありません。一番下の文字は「┬」を行書で書いたものです。すなわち、ここに書かれたものは、「o、yo、u」の母音の部分の行書体なのです。
まこと! 行書の世界は、魑魅魍魎の世界になっているわけですね。
チミたち、ハングルを甘く見たらいかん! ハングルを甘く見る者は1万ウォン札に泣かされる日が来るだろうと言いたい、というのが私の主張です。
ご清聴ありがとうございました。
[2002-11]