「今日は夜になつても寒くなりませんね」
「おや、奥さん。ごぶさたでえ。一体どうした風の吹き回しです」
「たまには旧仮名でおしやべりしたくなつたりしてね。うふ」
「さうか、そりや好かつた。そりや好いや、奥さん。
旧仮名シリーズ、是非レギユラア番組にしませうよ」
「8月にお話しになつた<8・2の法則>のことなんですけどね。中崎タツヤの漫画を読んでましたら、別の8・2の法則がありましたよ」
「あゝ、中崎タツヤの言つてゐたやつですね。<宇宙の法則>とかいふ…」
「さうなんですよ。此処に100匹の蟻がゐたとする。全ての蟻が一生懸命働いてゐるやうに見えるが実際に一生懸命働いてゐるのは2割(20匹)だけで、残りの8割(80匹)は遊んでゐるんだ、と」
「さう。そして、もし一生懸命働く2割の蟻が全て死んでしまつたら残りの蟻の内の2割、即ちこの場合だと80×20%=16匹が一生懸命働くやうになるんだ、といふ内容ですね」
「此れつて日韓的にはどう解釈されるんだらうつて思つたんです」
「奥さん、この8・2の法則のことですがね。少なくとも日本のビジネス界では1・8・1の法則の方が主流だと思ふんです。或る集団があつた場合、その内1割の人間が集団を引張つて行く人間であり、8割は与へられた仕事が一応できる人(代りが効く)、1割は困つたちやんだ、といふ法則なんですが」
「はあ」
「それでですね、韓国の場合、果して1・8・1なのか2・6・2なのかといふこともあるし、また、8割/6割の部分も日本と質的な違ひがあるでせうからその辺りの定性分析もしなきやいけない。非常に複雑な作業であるわけですね」
「にやるほど。さうですか」
「私個人的には、社長一人でやつてゐる人と会う機会が多いので、その社長がそもそも1・8・1の内のどれなのかと考へてしまつて、この研究に手をつける余裕がないのが実情です」
「でも、1・8・1の法則だと、社員数が5人しかゐない会社の場合困りますよね」
「さうなんですよ。5人の場合は上半身・下半身に分けて個体数を10とみなす方法も開発されてゐますけどね」
[2002-11]