では、本書の構成について述べてみよう。
第一章「韓国人にとってインドとは何か」においては、次のような点について解説を行った。
すなわち、まず第一点は、韓国人にとってインドは所詮どうでもよい国であるということ。「ええっ。人口が8億ぐらいだと思っていたのに、10億以上になってんのかよ」のような会話から窺い知る無関心度。
第二点は、しかしながら韓国人はインドについて多少は気にかけているということ。この第二点のケーススタディとして“KBSドラマ・インド事件”を取り上げた。“KBSドラマ・インド事件”とは言うまでもなく、1990年代の韓国テレビ界を大きく揺るがしたあの“KBSドラマ・インド事件”のことである。KBS2で放送された人気ドラマの中で、登場人物(50代・女)が、息子がインドに派遣されることになったと聞き、「インドなんて人間の住むところじゃない。生きて帰って来られない」などと言うくだりがあった。この放送が「いくらドラマだとは言え、インドに対し失礼な内容である」ということになり、KBSは後日、テロップとナレーションによる謝罪をした。なお、このドラマは2年後ぐらいに再放送されたのだが、その際、インドを貶める台詞のシーンはカットされ、かと言って他のシーンが長くなっていたわけでもなかったので期待して見た筆者は気落ちした覚えがある。
第三点は、最近増えたと言われる、慶尚道(キョンサンド)のソフト会社へのインド人就労問題である。インドからやって来るインド人にとっては、ソウルで働くのも慶尚道で働くのもほとんど同じことであり、何かとソウルを目指したがる韓国人の穴埋めをしてくれているわけであるが、そこに横たわる問題について考察してみた。
第二章「韓国人とカレー」では、食文化・味覚の面からアプローチしてみた。
俗に、「韓国人は唐辛子の辛さには強いがワサビ・カレーの辛さには弱い」と言われているが、「激辛王決定戦」の試合結果を分析した結果、「そもそも韓国人が日本人より唐辛子の辛さに強いとは必ずしも言えない」という結論に至った。詳しくは本文を参照されたい。
次に、韓国にはなぜカレー屋が少ないのか、大したこともないカレー屋がなぜ一食8,000ウォンもとるのか、などについてカレー関係者、カレー愛好家、カレー被害者などに取材しレポートした。「韓国人は食事時にトイレの話しをする傾向がある」、「韓国において、カレーは<普段着の食事>ではなく<ハレの食事>である」、「韓国人は食文化において保守的な民族である」などの証言を得ることができた。
次の項目は、本書の中心をなす部分である。韓国人とインド料理の関係について考察を加えた。歴史的に韓国ではエスニック料理というジャンルが確立しなかったこと、いつの間にかフュージョン料理屋ばかりできてしまったこと、どさくさに紛れてインド料理が高級料理になってしまったこと、などについて経時的分析を行った。
第三章は章全体を梨泰院(イーテウォン)にあるインド料理店「タージマハル」の紹介にあてた。特定の飲食店のみを紹介することには賛否両論あろうが、本書に「安くて旨い店紹介」という実用本の性格も持たせ販売部数を増やそうと考えたためで他意はない。
この店の特徴は、インド人のお客さんがうじゃうじゃ来て、インド人になった気分が味わえるところにある。値段は他のインド料理店に比べリーズナブルであるが、単品で頼むと韓国料理に比べ相当に高くなってしまうので、金〜日のバイキング(昼は1万5千ウォン、夜は1万7千ウォン)をおすすめしたい。金曜日の昼食時に行くとほとんど客がいないので、「つぶれてしまうんじゃないのか!?」と非常に心配になる。そうでなくてもインド料理屋が少ないのにぃ…。
店内にはバングラディッシュ人の指名手配写真のチラシもあり、自由に持ち帰ることができる。指名手配の懸賞金は500万ウォンであるので、このバングラディッシュ人を探し出して警察に連絡すれば、この店のバイキングに300回ありつける計算になる。
この「タージマハル」のWebサイトは韓国語版・英語版が作られており、店への行き方をビデオで紹介するという大阪の深夜番組のようなことをしている。また、インドのビデオクリップ(ちょっとエロ)が鑑賞できるページもあり、家でカレーを作って食べる時など、BGMとして使えそうである。
第四章は「21世紀の中国人vsインド人 − 人海戦術vs牛歩戦術」である。
中国人の遠泳大会の様子とインドの牛の歩き方についてビデオ撮影を行い、中国人が泳ぐ速度とインドの牛が歩く速度を比較分析した。
[2002-08]