韓国に旅行に来た時、喫茶店に入ると、スリッパを持ってお客さんの間を「どうですか」「いらないですか」みたいなことを聞きながら歩き回っているおじさんがいました。私は、そのおじさんを「スリッパ売り」だと認識していたのですが、「なぜ新品のスリッパを売らないで汚いスリッパを売るのだろう」という謎を抱えておりました。
後日わかったことですが、そのおじさんはスリッパのセールスマンではなく、靴磨きのおじさんだったのでした。(つまり、靴を持って行って、磨いてからまた持って来るわけですね。その間、お客さんはスリッパを履いている、と。)
以前、日本人&韓国人が数人でお昼ごはんを食べに行って、オンドルに上がって食事している間に靴磨きのお兄さんが勝手に靴を磨いて、帰る時に「靴磨いておいたから金をくれ」と言うので、日本人がひどく怒ったことがあります。そりゃそうだ。
で、靴磨きの方も簡単に引き下がらず、結局どうなったかと言うと、韓国人が靴磨きに代金を払って終わりました。この韓国人の出費は為替リスクのようなものかもしれない、と思いました。
ユジャチャ(柚子茶)を頼むと、カップの上の方に柚子の種のようなものが浮いています。ですので、日本人はこれをスプーンですくってソーサーの上に捨ててからユジャチャを飲みます。お約束。
そして、同行の日本人が「それは柚子の種ではなくて松の実を浮かべたものだから、そのまま飲めばいいんだよ」と言って、「あら〜そうだったの〜」となる。もう、100%この展開です。
同行の人が韓国人だった場合は必ずしもこうならない。韓国人は「この日本人は松の実が嫌いなんだな」と思って黙っていたりする。
うーん。これは例えばどういうことなんだろ。箸が上手に使えない外国人に対して「お鮨は手でつかんで食べてもいいんですよ」と言わなかったりするみたいな? 和式の便器の上に穴のあいた椅子を置いて用を足している外国人に対して「そのまましゃがんですればいいんですよ」と言わなかったりするみたいな? 日本の女の子を回りくどい方法で誘っている外国人に対し「外国人はダイレクトな方法がむしろ効果的ですよ」と教えてあげないみたいなこと?
日本から来た人と地下鉄に乗ったら、おじさんが大きな声で傘のセールスをしていました。「デパートで買えば1万ウォンする傘です。今日は特別に2,000ウォンでお売りします」
これを見た日本人、「誰かが傘を忘れたのね」
なるほど、そう来るか。おじさんは「この傘忘れた人いませんか〜!」と言っている、と。
これも△ぐらいは貰える解釈かもしれません。いずれにしても、「韓国人は親切である」という印象を持って日本に帰って行く点が好ましい。
このように見て来ると、韓国に長年住んでいてもいまだに勘違いしていることがあるかもしれません。街中のキヨスクのおじさんは実は通行人をウォッチしている人である、とか、電車の中で「キリスト教を信じないと地獄に落ちますよ」と言って歩き回っているおばさんは実は大道芸人である、とか。老人大学は実は「老人大学」という名前のデートクラブなんだ、とかね。
[2002-07]