そうさな。あれはいつ頃のことじゃったか。
店の入口を開け放って営業しとったのだから、冬ではなかったと思う。
そのうどん屋に入って、適当なテーブルに座ったところ、隣りのテーブルの客が日本語で話しをしていたわけじゃ。
60歳ぐらいの男が日本語ネイティブで、35歳前後と思われるのが韓国人。話し方から察するところ、二人はあまり親しい関係ではないと思われた。
恐らくは…。60歳の日本人が海外出張でやってきて、韓国支社を任されている韓国人と昼食をとりにやって来た、と。
まあ、それにしては、このうどん屋はないだろう、とか思うけどな。日本人が韓国在住ならこの店もアリなんだろうが、出張でやってきたなら、もう少しマシな所に連れて行くんじゃないかと思うぞ。
−− 二人は何を食べていたんですか。
日本人はざる蕎麦、韓国人はうどん。そして、おぷしょんとして蒸し餃子を注文したらしい。なぜかと言うと、テーブルの上に蒸し餃子があったから、わしはすぐわかったんじゃ。
−− 韓国人は食事の時にオプションを注文することが多いんですか。
ってゆーか、韓国人は生の野菜を食べることはあまりない。生の野菜を食べることは禁じ手に近いということを知っておくべきだ。
「生の大根を食べるとインポになる」とはよく言われていることじゃろが。だから韓国には「大根おろし」を食べる習慣が存在しないのだし、刺身のツマで出てくる大根を食べる韓国人も存在しないのじゃ。韓国人の動物的嗅覚なのか…。
さらに言えば、生にんじんはダイエットの敵であり、生きゅうりは97%が水分であって、存在自体が無意味な存在なのじゃ。
−− でも、韓国の「日式」と言われるお店に入って刺身を注文すると、にんじんや胡瓜のスティックがサービスで出て来ますけど?
そりゃ当たり前じゃ。
人間、老眼になって本の文字が読めなくなってきたら、神様が「あなたはもう本を読まなくてもいいのよ」と言っているのであり、髪の毛が薄くなってきたら、神様が「あなたには保護すべきデータは何もないのよ」と言っているのじゃ。
−− えっと。ちょっとスミマセン。前の「本を読まなくてもいい」という部分は分かるんですが、後の部分はどういう風に対処すればいいんでしょうか。「あなたには保護すべきデータがない」。だから、どうしろと。
それは分からんよ。なにしろ、このうどん屋に行ったのは何時間も前のことだし。誰がどう対処したとかいちいち記憶しているわけじゃないからさ。
[2002-05]