「島くん、ちょっと来てくれ。
「はい、なんでしょうか。
「うちの漫画を韓国に出したいと思うが、どうかね。
「<課長島耕作>ですか。これはもう数年前から韓国でライセンス版が出ていますが…。<シマクヮジャン>というタイトルです。
「そうか?
「はい。実は今朝、地下鉄6号線に乗っておりましたら、私のすぐ近く、ドアの近くに立っていたサラリーマン風の男が単行本の<シマクヮジャン>を読んでいまして。
「ほお。
「<島耕作>の場合、一話に一回ベッドシーンもしくは大股開きが出てくるのがポイントだと思うんですが、そのサラリーマンがエッチなシーンをどんな表情で見るか、エッチシーンで読むスピードを落とすか、それとも電車の中だけに逆に早く次のページに進もうとするのか、など興味があったので、斜め後ろからじっくり観察しました。
「それで?
「はあ。残念ながら表情は口元が少し緩んだかな、ぐらい。速度もほとんど変化がありませんでした。
「韓国では売れているのかね?
「正確なデータはありませんが、シリーズ合わせて100万部ほど出ているそうです。日本の島耕作が800万部と言われてましたから、まずまずの数字ではないでしょうか。<部長島耕作>も販売推進中です。
「他の漫画も出ていそうだな。
「<ゴルゴ13>、<花より男子>、何でもゴンザレスです。
「おや、島くん。右手をどうかしたのかね。左手でペンを持って。
「あ、これですか。韓国の漫画は左上から右下に読み進むようになっているので、日本のオリジナルとは絵が左右反対になるんです。
「ふーむ。…それが今回のオチだとすると、君もまだまだ出世できんな。
「申し訳ありません。来週は頑張ります。
[2001-10]