このタイトル、イヤすぎ。なんとかならないでしょうか。
一週間ほど前、KBSの深夜討論という番組で、公娼制をめぐって大学の先生たちが唾をペッペペッペ飛ばし合って議論を繰り広げていました。
公娼制導入賛成派は、「淪落行為防止法が現実と合わなくなっており、有名無実化している。特定地域を公娼ゾーンにした方が、取締りの警察の収賄も防止できるはずだ」と主張。反対派は、「それはむしろ、生計の手段として売春するしかない女性に、国家が売春婦という烙印を押す行為に他ならない」などと反論。賛成派いわく、「フランスやオランダでは公娼制が導入されている」 反対派、「オランダは特異な国だ。安楽死を容認しているのを見てもわかるではないか。韓国はヨーロッパの後追いを盲目的にすべきではない」
まあ、こんな感じで、番組はプロデューサの目論見どおり盛り上がっていたわけですね。
この番組、生放送でして、途中で視聴者の意見を電話で受け付けます。
「はい、次の方、どうぞ」
「もしもし」
「どこにお住まいのどなたでしょうか」
「××市に住む、金○○といいます」
電話の声は40代〜50代のおじさんです。
「何をなさっている方でしょうか」
「理髪所を経営しています」
うーむ。なぜこのおじさんが電話受付の予選をパスしたのか、大体わかりますね。韓国の床屋さんはえっちサービスと関係があるのですが、このおじさん、床屋さんならではの面白い意見をもっていたのでしょう。普通の会社員に売春関係の意見を求めても、それは隣の家のおじさんの意見と同じようなもので、ちっとも新しい発見があるものではない。
それで、このおじさんが討論の内容についてどういう意見を言ったのか、私は忘れてしまったのですが、司会者が、「今は深夜営業が認められているんですか」と訊いたら、「24時間OKですよ」とのこと。「24時間ってことは、あっちのサービスもするわけですよ」
「ああ、そうですか」と、司会者。するとおじさん、「我が国の床屋の歴史を簡単に説明しましょうか?」だって。
さすがに司会者は苦笑して、「いや、いま討論してますから、床屋の歴史は別の機会にうかがいます」
ああ…。でも、この司会者は床屋の歴史を聞き逃したことを後悔したんじゃないでしょうか。もったいない…。少なくとも私は、大学の先生の議論より「床屋の歴史」の方がはるかに面白いと思います。大体、韓国では、「バスの車掌がいなくなり、車掌をしていた人たちは床屋さんなどに流れて行ったんだよ」なんていう話しが酒の席でまことしやかに語られたりするわけですが、こういう言説にもいつかは飽きが来るってもんです。話しに説得力ないし。
ってことで、仕方がないので、「私の床屋史」ってことで書いてみましょうかね。本来、私は聞き手となるはずだったんですが…。
私は日本にいた時、床屋、美容院、半々ぐらいで髪を切ってもらってました。使い分けてたってことじゃなくて、家の近くで切るときは床屋さん、オフィスの近くで切るときは美容院っていう、結構アバウトな利用の仕方です。
韓国に来てからしばらくは、えっち床屋に行ったりしていました。韓国人が推薦するし、趣味と実益を兼ねてるっぽかったので…。
でも、アレですね。床屋さんの「床」の字は、床上手の「床」と同じ漢字。それを考えると、むべなるかな退廃床屋、というしかありません。
そのうち、退廃床屋が法律で禁止され、また私自身が飽きてきたこともあって、ずっとビジネス街にある健全な床屋さんに行っていました。
健全床屋は間仕切りのカーテンもなく、店内も明るいのですが、散髪が終わったあと、女性がマッサージをしてくれます。私の場合、マッサージ不要、チップもほとんどあげない作戦でやってたら、ある日、「お客さん。こっちのブロックはチップ5万ウォン払うお客さんなのよ。お客さんは、次からあっちの方に行ってね」と、エコノミークラスの方を指差されてしまいました。
で、このエコノミークラス時代が相当に長かったです。
ただ、この時期ももぐりの退廃床屋は存在していて、例えば、江南地区の床屋さんでは、個室になっていて、1回10万ウォンとかだったそうです。
この後、私は美容院時代に移り、おばさんたちに混じり髪を切ってもらっていたのですが、美容院の人って変にプライド持ってるみたいで、あまり好きにはなれませんでした。(日本の美容院に行ってた時は、こういう感覚、あまりなかったんですが…)
美容院に関しては、廉価なチェーン店などもあり、安いところでは5,000ウォンでカットしてもらえます。
はい。そして、最終的に私が流れ着いたのは、近所の床屋。
な〜んか、「人間、死んだら土に還るんだよ」みたいな言葉を想起しちゃいません? 「青い鳥は自分の近くにいた」とか。 ちょっと違います?
でも、この床屋、ちょっと怖いです。髪を切ってくれるのは25才くらいのお兄さんですが、その指導をするおじさんが、髪の毛が比較的多かった頃のNHKの和田勉みたいなヘアスタイルしてるんですから。
もっとも、私は自分のヘアスタイルの類にはあまり関心ないし、髪切ってもらっている間は俳句のこと考えたりしているので、所詮どうでもいいお話しです。
なお、髪を切る場所としては、この他に大学周辺、大学構内、銭湯内の理髪所などがあり、ここいらは相当に安価です。私はほとんど利用したことがありません。
[2001-07]