私は色んな物事に寛大な方だと思うのですが、「この食べ物は許せない!」というものがやはりあるのでした。
まずは、トトリムク。「トトリ」はどんぐりで、「ムク」は練り物のような意味。トトリムクの見た目は、色、形ともこんにゃくそのもの。ただし、弾力性は豆腐程度で、箸で簡単に切ることができます。
味は‥‥泣きたくなるほどまずい。
私がこの食べ物が嫌いな理由は、まずいからというより、一体なんなんだか良くわからないからだと思います。それから、「味はたいしたことないんだけど、舌触りがよい」というのなら理解できると思うんですが、舌触りも中途半端。
ケーキの「モンブラン」なんかは栗を感じさせてくれますが、トトリムクは「どんぐり」をそれほど感じさせてくれるわけでもない。ま、どんぐりを感じさせてくれたらくれたで、「わしはリスじゃないぞ」と怒るかもしれませんが。
「見た目こんにゃく状」というのも私の怒りに火をつけている。こんにゃくだと思って、トトリムクを買ってしまったことがありました。
次の許せないものは、チョングクジャン【清麹醤】。これ、どうやって作るのかはわかりませんが、納豆が入っている味噌汁のようなもの。
「トトリムク」よりも悪質なのは、隣りのテーブルからチョングクジャンの匂いが漂ってくるということです。なので、店の入り口に「チョングクジャン」というメニューが書いてある店には入らないようにしています。
私の親戚関係は、納豆を食べる人食べない人が半分づつぐらいだと思いますが、私にとって納豆は天敵なのでしょうか。嫌煙権があるように、ぜひ「嫌チョングクジャン権」を作って欲しいです。
三つ目は、言わずと知れた犬鍋さん。
犬鍋については、うまい店まずい店の違いが大きいそうですが、私が食べたものは非常にまずかったです。多分、肉のまずさを消すためでしょうが、匂いの強い野菜と唐辛子をめちゃくちゃ沢山放り込んでいた。
あ、私は犬鍋は一度しか食べたことがありません。そういった意味では、犬を論ずる資格はないのかも。ただ、「犬鍋は味的にはイケテル」と言ってしまうと、猫鍋や人間鍋も味としてはOKということになって、歯止めが利かなくなると思いませんか? (ここで突然、筒井康隆の『乗越駅の刑罰』を思い出してしまいました。)
それから、日本人留学生が時々言うのが、「昨日まで下宿で飼っていた犬が料理になって出てきたのでびっくりした」ということ。うーむ。それで、日本人留学生はこれにどう対処しているかというと、「これを食うあんたたちは人間じゃありません!」と言って席を蹴って立つわけでもなく、韓国人と一緒に元飼い犬の鍋を黙々とつつくことになるらしい。この辺りが<留学生>のすごいところでもあり、限界でもあるわけですね。
[2001-03]