ある日、家に入るところで「アジョシ!」と呼びかけられました。後ろを振り返ると、大きなカバンを肩からかけたおばさんが立っていました。
「アジョシ、国勢調査しました!?」
「私、外国人ですけど」
「アイゴ! 外国人もするんですよ。外国人用のがあります」
おばさん、こう言いながら、カバンから書類の入った封筒を取り出します。その封筒を受け取って中を見ると英語の調査用紙が出てきた。
「英語じゃないですか! 英語イヤです」
「どこの国の人?」
「日本人ですけど」
「アイゴ! 英語も日本語も全部ありますよ。中を見て下さい!」
おばさん、必死。
中を見ると、確かに多言語で書かれている模様。
「明日私が取りに来ますから、記入してここに置いておいて下さい。明日までなんです」
最近、共働きの家や一人暮らしの家庭が増え、調査員は苦労している、とニュースで報道されていました。
中国でも国勢調査をしているそうですね。調査員だけで600万人とか。すごいぞ、中国。
さて、部屋に入って書類を見てみると、外国人用のものは英語、中国語、日本語、インドネシア語、ベトナム語、のいずれかで答えればよいようになっている。英・中・日の次に来るとしたらタイ語あたりかと思っていたのに、インドネシア語、ベトナム語とは意外です。私があまりに無知だったのでしょうか?
調査項目はどうなっているのか。日本語のページを見てみると…。(ディテールまでよく見て下さい)
■世帯員に関する項目:世帯員が六人以上である場合は調査表を追加してください
| 1 | |||||||||||||||||||||||
| 1.氏名及び性別 | 1.男 2.女 |
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| 2.生年月日 | 西暦__年__月__日 | ||||||||||||||||||||||
| 3.教育程度 |
1.無学 2.小学 3.中学 4.高校 5.大学以上 |
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| 4.国籍 |
|
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| 5.主な滞留目的 |
1.永住 2.雇用 3.宗教活動 4.教育及び訓練 5.観光または事業訪問 6.親戚訪問 7.家族と共に 8.その他 |
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| 6.本人の仕事の種類 |
1.高級公務員及び管理者 2.専門家 3.技術職及び準専門家 4.事務従事者 5.サービス業従事者 6.販売従事者 7.農林漁業の熟練者 8.機能職勤務者 9.装置機械操作員 10.単純労務職 11..なし |
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| 7.居住期間 |
1. 3ヶ月未満 (居住予定期間 年 ヶ月) 2. 3ヶ月〜6ヶ月 3. 6ヶ月〜1年未満 4. 1年〜5年未満 5. 5年〜10年未満 6. 10年以上 |
ふーむ。
国名表記の中でベストワンは「バングラデシ」かな。
「あなたのお国はどちらですか?」
「バングラ でし」
それから、「本人の仕事の種類」の欄は、一応士農工商風に並べたつもりなんだろうけど、これ困りますよね。オンラインショップの仕事をしている人なんか、どこにマルするんだろ。昔、筒井康隆が「SF作家の地位は歯医者の次ぐらい」と発言して話題になりませんでしたっけ? そんなことも思い出しちゃいました。
なお、「8.機能職勤務者」は、「技能職」の間違いでしょうね。中国語版では「8.技術工人」となっています。
この調査表、残りの部分は家屋の形態、台所や浴室の有無などについて質問しているもので、あまり面白いものではない。
ただ、私がびっくりしてしまったのは、おばさんがくれた調査表、すでに他の人が英語版のところに記入したものだったのです。1番の人が「性別:Male、国籍:Iran」、2番の人が「性別:Female、国籍:Mongolia」などと書き込んである。生年月日、学歴など、氏名以外は全ての質問に答えていた。
ご丁寧なことに、封筒表紙の調査員記入欄には、おばさんが記入したと思われるその家の番地までが書いてありました。「そうか。あの家はイラン人とモンゴル人が同棲していて、何月何日には誕生日なんだ」とか分かってしまう。
国勢調査に先立って、TVでは「プライバシーの侵害が憂慮されるのですが…」というアナウンサーの質問に答えて、統計庁のおじさんが「データはコンピュータで処理されるので安全です」などと言っていたのですが、調査現場の実態は悲惨なものだったのでした。
[2000-11]