東京に行った時などに、「杉山さん、私、NHKのハングル講座を見てるんですよ」と、キラキラした瞳で(っていうのは嘘ですけど)、言われることがあります。
そういう時、私は「あ、そうですか」とか「ふうん」と答えるわけですが、内心は「それでエエんかいのう〜」と思っています。
私が東京で韓国語を勉強し始めた時、ハングル講座の日本人の先生には前歯がありませんでした。それで、「歯がない先生に韓国語を習いたくないぜ」と思ったのと、TVの講座は進行がチンタラしていると思ったことから、韓国語の勉強はラジオ講座を利用していました。
TVのハングル講座はなぜ駄目なのか。
それは、ちょっと想像力を働かせてみればわかることだと思います。
「あの〜、新しいコーナー企画の事ですけど、○○○○みたいなものをやったら韓国語の上達に効果があるんじゃないかと思うんですが…」
「お前、何年この業界でメシ食ってんだよ。韓国語の上達なんて関係ないの。ってゆーか、上達したら困るだろ。毎月テキスト買ってくれて、チャンネル回してくれればそれでいいんだよ」
この先輩の言うことは正しい。
NHKのハングル講座が目指しているのは、韓国語を切り口にしたエンタテインメントであって、ここ数年はその傾向がますます強くなっています。その意味で、この番組をエンタテインメントとして観るのは充分に正しい行為だし、「語学講座を見るのが趣味」という人がこの番組を見ることについてナンタラカンタラ言うつもりはありません。ウィンブルドンの中継を見ている人に、「おいおい、テニスの中継を見たからって、テニスが上手になるのかよ」とは言いませんよね。ウィンブルドンを見るのは手段ではなく、それ自体が目的、楽しみなのだから。
NHK教育のハングル講座が韓国語の上達にあまり役立たないものであるならば、では、どうすればよいのでしょうか。
私は、韓国語が上手な日本人、日本語が上手な韓国人、早く上達した人には「どんな風に勉強したんですか?」と必ず聞くことにしているのですが、返ってくるのは例えば次のようなものです。
あ、失礼。最後のやつは、「韓国の女のコに尊敬されるためのテクニック」でした。
うん。で、結局、みなさんに聞いてみれば、それぞれ、徹底した反復トレーニングとか、「巨人の星」の大リーグ養成ギブスのようなことをしているわけですね。「楽しく韓国語の勉強を」というフレーズが怪しげなものだとは言いませんが、「楽しく」ってのは「効率」を犠牲にしたものではないか、との疑問が頭をもたげます。
そもそも、勉強は必ずしも楽しいものである必要はないし、「早く会話が出来るようになって、韓国人と楽しい会話をする」ってのが本来あるべき流れであるはず。 ですよね?
[2000-09]