大阪発ソウル行きの全日空便に乗ったら、座席前のポケットに、お持ち帰り可のソウルガイドブックが入っていました。140ページを越えるオールカラー、只でくれるものにしては立派な体裁です。
でも、このガイドブックの内容を見て、「はっきり書かんヤツだなあ」と思ってしまったのでした。
例えば、新村の「トンカルビチブ」の店の紹介。「済州島で特別に飼育された豚の肉を使い…」などとありますが、はっきり言って済州トンカルビって、「ウンコを食わせて育てた豚」でしょう? 「特別に飼育」などと言うと、「豚小屋で育てず放牧して育てた」みたいに考える人が出てくる。ま、それが狙いなのかもしれないけど。
ちなみに、済州島では豚の胎児を食べる習慣もあるそうです。韓国人でもこれを知らない人がいるのですが、スルドイ人は、「ソウルにも豚の胎児を食べさせる店がありますよ」と教えてくれる。
それから、デザイナーのアンドレ金についての記述部分。「上流婦人たちの間で絶大な支持を得ている」 うーん。
「アンドレ金は未婚であるが、なぜか男の養子を二人も育てている」と書けとは言いませんが、「アンドレ金の服は、やたらには着られないデザインだ」ぐらいは書いておくのが親切ってもんでしょう。「デザイナーの服の中でも、とんでもなく高い」とかね。
なお、アンドレ金については、世間の評判と、直に付き合いがある人のウケとが違うようです。直接に知っている人は、アンドレ金のことをあまり悪く言わないようです。
コリアナホテルについて。「関川夏央の『ソウルの練習問題』の中でも紹介された」とありますが、関川夏央はコリアナホテルを誉めていたわけではなかったと思います。この本、ヨイショ本じゃなかったし。
それに第一、『ソウルの練習問題』が書かれた後、ソウルには新しいホテルがたくさん出来たわけで、15年ぐらい前の本にちょこっと出てきただけでは自慢にならないでしょう。「このホテルはS・モームの小説に出てきた」なんて風なら自慢していいと思うけど。
スイスグランドホテル。「スイスのお城のような風格が漂っている」とのことですが、韓国のソウルに来て「スイスのお城」を感じたいと思うかあ?? そもそも、このスイスグランドホテルって、なぜこんなところにこんなホテルを作ったのかコンセプトがわからない。他のホテル、例えば、新羅、ロッテ、ウォーカーヒルなどはすべて了解可能なのに。
このガイドブック、どの項目をとってもそうなんですが、結局、えぐり出して書くわけには行かないので、当たり障りがないことだけ書いてある感じでつまらなくなっちゃってる。「ウンコを食べさせて育てた豚」なんて文、結構パワーがあっていいと思うんだけどなあ。ウンコゆえの肉の柔らかさであるわけだし。
まあしかし、これがガイドブックの限界ってものだし、ガイドブックの原稿を書くのも、それなりの苦労がありそうです。
個人的な意見を言わせてもらうなら、せっかく全日空の機内で配っているソウルガイドなんだから、全日空のスチュワーデスがいつもソウルのどこのホテルに泊まっているのかぐらいはきちんと書いておいて欲しいと思ったことでした。
[2000-06]