3年ぐらい前までソウル・カンナム(江南)のナイトクラブのウエイターをしていた人(韓国人男・30代後半)が、彼の友人(韓国人)と私に語ってくれたお話です。私はオンドル部屋に寝そべってこの話を聞きました。今これをご覧の方も、寝そべって鼻くそでもほじりながら読まれると、その場の雰囲気に浸れるかもしれません。
ナイトクラブのウエイターの報酬は定額ではなく、自分が売り上げた金額に応じて支払われます。そのため、指名客をたくさんつかんでおかなければなりません。
「ウエイターがいくら稼ぐかっていうと、ほんとうのトップクラスは月3,000万以上。俺なんかでも1,000万ウォンは行ってたから。
「俺の場合は友達と3人でタルランチュジョム(団欒酒店)をやっていて、まあ結構いいお客さんつかんでいたからね。社長とか。そのお客さん連れてナイトクラブに行ったから、ナイトとの契約金は高かった。
「でも、ツケで飲む客が多くてその回収が大変。それでウエイターの仕事をやめたわけ。ツケで飲むのも悪質で、会社に行くと『今重要な契約中だ、後にしてくれ』『忙しい。忙しい』って。
「もちろん、怖い人使うことはできる。オレの弟が学校中退して、コレやってる。身長が180あって、脅しをかけることはできるんだけど。ただ、これを使うと、一緒に来てたお客も全部切れちゃうんだよね。たとえば、Aという客に脅しかけて回収すると、これと一緒に来ていたB、C、D、みんな来なくなっちゃう。
「未収金が億に近いウエイターもいたと思うよ。そりゃそうだよ。客4〜5人で来てルームとって、洋酒に外国製のつまみ。洋酒だって一本じゃおさまらないでしょ? それからアガシ(女の子、ここではホステスのこと)のチップ。ワンテーブルですぐ200万ウォンになる。
「俺はアガシの誰が一番テクニックがあるかなんて関心ないことなんだけど、商売で必要だからアガシたちと色々話ししたよ。お客さんもいろいろでさ。ルームで楽しく遊んで帰れれば満足する人もいるし、デート期待する人もいるし、好みに合わせてアガシをつけないとね。
「アガシのサービスがよくて、日本人客なんかが3倍くらいのチップを払ったりすると、アガシが後で『オッパ(兄さん)、お昼ご飯ご馳走してあげる』って電話してくる。ウエイターへのアガシの売り込みも盛んでさ、旅館に呼び出されることも多かった。
「でも本当はそういうアガシは俺は嫌い。アガシの中にひとり、純な子がいてさ、俺が建設会社の社長を紹介してあげたことがあった。その社長が女の子にはまって、アパート込みで総額1億ウォンぐらいプレゼントしたって話し。
「日本人の客からは、もちろんボる。俺らが日本に行ったら当然ボられるように、それは当たり前のことだよね。ボるって言っても、2倍3倍までは行かないから、日本人は満足してる。日本人は韓国人以上にスケベだと思われているよ。
− 日本人は海外旅行で来てるから羽を伸ばすんだろ?
「俺の知ってた日本人でさ、50代の男なんだけど、いつも日本人のお客さん、取引先の客か何かだろうけど、何人も連れて来る人がいたわけよ。本当はその日本人にマージン渡してもいい位なんだけど、その50代、アガシをあてがわれるだけで満足してた。
− 日本人の宿泊客にはボーイがセールスするわけ?
「特級ホテルなんかはそんなことをしたら大変なことになる。俺のいたホテルでもボーイは客の反応を見ながらそれとなく話をもちかけるのが精一杯。普通は、ボーイが客の情報を俺らウエイターに流す。
「アガシたちって、しんどい思いして稼いだお金でパッパパッパ模範タクシーに乗ったりするんだよね。俺はこれに一番腹が立った。模範タクシーはすぐ2万3万行くじゃない? こんなことしてたら、残るもの何にもない。
「あと、社長なんかと食事して嗜好が高級化してしまう。マダムたちは平気で数百万ウォンの服を買う。俺はどんなに金があっても、女房に百万ウォン以上の服を着せるつもりはないよ。
[2000-04]