先日、横断歩道の信号待ちで煙草を吸っていたら、ある浮浪者がスススとすりよって来ました。(ちなみに、韓国では歩行中の喫煙は法律で禁止されていて、見つかると罰金だそうですので、よい子の皆さんは真似しないようにして下さいね。)
その浮浪者のような人が、私に「タバコを一本くれ」と言うのです。
くれも何も、おじさん、火のついたタバコを手に持ってるじゃん。
「タバコ持ってるじゃないですか」
「このタバコよー、うまくねえんだよ」
確かに。
おじさんが手にしていたタバコは、細身のやつでした。もしかしたら、メンソール。うーん。おじさんには雰囲気も合わないし、大層つらいものがあるかもしれない。十分に理解できる。
でも、私の答えはやっぱり、
「知らないですよ、そんなこと」
タバコって奇妙なもの。所有権があるような、ないような。
東京にいた時、「二本も三本もタバコをもらうのはとても恥かしいこと。お金をくれ、と言う方がまだマシ」とよく聞いたことがあり、これが私のタバコ哲学にもなっている。
でも、韓国ではやや事情が異なる。
まず、酒の席ではタバコはみんなのもの。内ポケットの中からタバコを一本づつ出しているとへんな感じ。テーブルの上に投げ出しておく。タバコが切れたら、銘柄は何でもよいから、他の人の分も適当に買ってくる。
あと、知らない人からのもらいタバコ。1年に一回ぐらい、「タバコ一本吸いましょう」と、もらいタバコされることがある。「タバコもらえますか?」じゃなくて、「タバコ吸いましょう」ですよ。堂々と言うのがポイント。
もっとも、このフレーズをソウルの街で言われたことはないような気がします。大体は旅行先で、きれいな風景を見て人間がちょっと優しくなっちゃったりしている時が多い。
そんなこんなが、タバコのある風景です。
韓国でも禁煙運動はもちろんあります。その話はまた、日を改めて。
[1999-08]