キムチ実習の場を提供してくれた朴先生は、私の知り合いで、大学の先生をしています。
自宅は江南駅から歩いて5〜10分。
道々言うには、「私のアパートは古いんですが、場所が便利なんで引っ越さないでいるんですよ」
「そうですよ、先生。多少古くても、場所が便利な方がいいですよ」
みんなでぞろぞろ家に入ります。アパートの外観は公団住宅のような感じで古かったですが、中はきれい!
自宅で待っていたのは、奥さんと二人の子供です。なつめのジュースが出てきました。しばらくソファーに座って雑談します。こういう風に、「普通の韓国人の家」に入ってみる経験っていいですよね。
日本から持参したお土産(ウィスキーとお菓子)を渡します。お菓子は、甘いものは避けるよう、私がFAXを日本に流しておいたので、多分せんべいか何かのはず。
台所に入って(と言ってもLDKになっているので、台所に移動して、が正しい表現かも)、キムチ作りを始めます。
なんと、先生の奥さんの手際がよい!
白菜を二つに切って塩をふり、水で塩を流したものがスタンバイされています。2時間前に塩をふったとのこと。
それから、大根。多量の大根を刻んだものが大きなボウルに入っている。時間がかかる過程だけ、すでに済ましてあるのです。さすが大学教授の妻!
奥さんが説明を始めます。
「ほら、あんた、メモメモ!」 代表者がメモすることにしました。
「この白菜は、2時間前に塩をふって水で塩を流したものです」これをまた半分に切ります。今回の白菜は二株なので、四分の一の白菜キムチが八つ出来ることになります。
高菜を切って、大根のボウルに入れます。次いで、魚醤、粉唐辛子、塩、味の素少々などなど。あと、もち米の汁(?)を入れるのは、この家の秘伝らしい。好みによって、牡蛎、梨なども入れるそうです。
奥さん、使い捨てのビニール手袋をはめて、「次にこれをよくかき混ぜます」
かき混ぜた結果を、みんなでチョットづつ口に入れてみます。
「なぁるほど」
ここの味見で、調味料を更に足したりする。
次に、このかき混ぜた物を大根の葉の間に詰めていきます。
「手袋はめて、実際にやってみて下さい」
代表選手が一人、奥さんと向かい合わせになって、詰め詰め体験をします。
「白菜の根元の方は葉が厚いので、味が染みにくいです。多めに詰めて下さい」
詰め詰めした後は、一番外側の葉二枚を残して、全体を二つ折り。それから、一番外側の葉で包むようにします。
これをタッパウェアに入れていく。タッパウェアは大きいです。40cm×30cm×30cmくらいある。
「数時間するとキムチから水気が出てきますから、その段階で一度中身を上から押して下さい」
「数時間後とは、いつ?」
「今日、ホテルで寝る前に、一度押せばいいでしょう」
また、ソファーの方に戻って、日本語のメモを読み上げて確認します。
「ホテルに帰ったら、冷蔵庫に入れた方がいいのかなあ」
「あのホテルの冷蔵庫、これ入らないよ!」
奥さんに聞いてみると、キムチを漬けた後、すぐに冷蔵庫に入れてはいけないそうです。熟成が終わり、保存の段階で冷蔵庫に入れるとのこと。ただし、キムチ専用冷蔵庫の場合は事情が異なるらしい。
「あの〜、おいしいキムチを作るための一番のポイントは何ですか?」
何ぃ!? この日本人御一行様が、こんな鋭い質問をするとは! TVのレポーターに使えるかも…。5人セットで…。
これに対する奥さんの答えは、「よい白菜を使うこと、塩加減」の2点でした。
「どういう白菜がいい白菜ですか?」
「外が青くて、中は黄色。葉があまりびっしり詰まっていないもの」
とのこと。
さて、キムチ作りの実習が予想より早く終わったので、チャムシルに行って、夜の漢江遊覧船に乗ることにしました。
実習のキムチ(二株分)が入ったタッパウェアは結構重い。何しろ、帰りのエレベータでは、このキムチのためにブザーが鳴ってしまった程です。
チャムシルまでは、先生が車で送ってくれるというので、タクシーと先生の車、2台に分乗して行くことになりました。
ここで私は、ふと気付きました。「そう言えば、今日のキムチは"アミ"が入らないものだったなぁ」
ちなみに、朴先生は釜山出身、奥さんはソウル出身の人です。
[2000-11]