彼は明け方のけだるい夢想が好きだった。
あらゆる物が眠っている明け方、アパート団地の箱柳の樹から鳥がうるさく囀りながら飛んでくる時、ベッドの上でゆったりした静かな気分を感じつつ、彼女と一つになる夢想を何度かした。
彼女は美しかった。
白くすっきりとした顔、やや開いた唇、雪のように透明な肌、けちつけるところが何一つなく、撫でれば手の跡がそのまま白く残りそうな、マネキンのように白くてかすんだ女の裸身。その裸身を想うだけでも、彼は一日を幸せに始めることが出来た。
「はい!」
ボールを打つ女の弾んだ声が彼の部屋まで飛び込んできた。テニスコートが近くにあり、朝になると周りのアパート団地からテニスをする人間が押し寄せ、彼の熟睡を破った。
しかし、テニスコートを眺めるつもりは少しもなかった。
「お前が好きだ…」
彼は女に向かって口の中で低く繰り返し、天井に視線を止めたまま、右手を速く動かした。下半身に張り詰めた感覚が押し寄せ、かげろうが立ったかのように目の前がぼんやりしてきた。
まるで、思春期に夢精をしているような感じ、夢の中で女の隠微で厚めの部分を撫でているような、退廃的なナルシストの気分が下半身から生じ全身へと拡がっていた。
女は夕顔のように白く笑っていた。
「売女!」
彼は白く笑っている女の顔に向かい、顔を歪ませ荒々しく言葉を吐いた。女の顔が突然ポミに変わっていた。
ポミの顔が頭に浮かぶや、彼の顔は怒りでこわばった。
‥‥
■ イ・ジュンウォン
1952年忠清北道生まれ。1983年文壇デビュー。1994年ミステリークラブ読者賞受賞。