女の躯から花の香りがする。
まぶしい。目がひとりでに閉じてしまうほどの美しさのため、女にはとうてい近づけず何歩か後ずさりしたのだが、女の躯のどこからか、絶えず花の香りがしていた。
香り高い女は、恥かし気に身を竦めた。
長く細い首筋はベッドのシーツの方に垂れ、力なく頭を震わせたまま、塵一つないシーツを空しく掌で掃いた。
聞いていた通り、女はたいそう不自由な体だった。
頭の回りにはヘアバンドのように包帯が巻かれており、恥かし気に竦めた細い体が、色褪せた縞模様のパジャマに包まれていた。
青白く、これ以上白くなれない彼女の肌。あまりに白い肌のため、さらに濃く見える眉。
それほどにも真白い顔が、私から目を背け、窓外に目をやっていた。
私がわかるのかわからないのか、横顔を見せたまま、眩しい新緑の彼方をただただ見つめていた。
彼女に会う前、医者に会った。
医者は私に握手を求め、椅子を勧め、そして机の上にあった銀色のファイルを広げ何枚かの書類を揃えた。
医者が私に煙草を勧めた。
‥‥
■ ハ・ビョンム
95年「男の香り」、97年「野菊」を発表。「涙」は第三作である。